ビジネスの現場で効率化を図る際に、最初に取り組むべきプロセスの一つが業務の棚卸しです。これにより、業務のどの部分に改善が必要かを明確にし、具体的な対策を立てることが可能になります。しかし、業務マニュアルをもとに階層構造を考察してみると、企業によって章立てやレベル分けが異なる場合も少なくありません。
【理解しやすい4階層の業務構造】
長年の実務経験から、業務構造は4階層で体系化することが最も効果的であることが判明しています。企業規模や業態に関わらず、適用可能な普遍的なフレームワークとなっております。具体的には次のような形で分けています。
– レベル1:大分類
– レベル2:中分類
– レベル3:小分類
– レベル4:詳細分類
この階層分けによって、業務における各段階が明示され、余計な混乱を招かずにすみます。
【各階層の具体的な定義】
まずは、各階層が何を指すのか、詳細を理解することが重要です。
– レベル1:業務全体
業務全体 経理、人事、営業などの基幹業務を包括的に表現します。企業規模により、例えば人事部門が給与管理と人材開発に分割されるなど、適切な粒度で設定することが重要です。
– レベル2:上位カテゴリ
– レベル3:下位カテゴリ
レベル2とレベル3は業務の論理的な分類を表現します。書店における書籍分類を例に挙げますと、「ビジネス書」という上位カテゴリの下に「マーケティング」「経営戦略」といった下位カテゴリが配置される構造です。
– レベル4:担当者単位の業務
担当者単位の業務 具体的な業務タスクを表現する階層です。「経費精算処理」「販売計画策定」といった実務レベルの業務単位を定義します。
これらのカテゴリ設定により、部門単位の分類に似た形にはなるものの、特に重要なのはレベル2とレベル3です。業務レベル(レベル4)から始め、上位のカテゴリへと段階的に組織化していくこともできますし、逆に主要なカテゴリを先に決めてその中に詳細な内容を当てはめることもできます。
【プロセスの詳細化がカギ】
業務構造を理解したら、次は業務プロセスを分析する必要があります。
レベル4で行う業務は、業務プロセスの最前線にあります。業務にはいつも手順が伴います。例えば、販売データ入力という業務の流れは次のように整理できます。
・販売資料の収集
・データの検証
・システムへの入力作業
・入力結果の確認
・資料の整理保管
各ステップには詳細な操作手順が必要となります。例えば「システムへの入力作業」には、アプリケーションの起動から保存操作まで、明確な手順が定められています。
この操作レベルまで掘り下げると、業務の実行において「欠かせない部分」「無駄な工程」「改善点」が見えてきます。
【業務の全体像の整理】
最後に、業務全体の構造を整理すると、以下のようになります。
– レベル1:業務全体(例: 人事、経理、営業、品質管理、生産管理)
– レベル2:上位カテゴリ
– レベル3:下位カテゴリ
– レベル4:担当者単位の業務(例: 見積書作成、生産計画作成)
– レベル5:業務プロセス
– レベル6:業務マニュアル
– レベル7:操作マニュアル
このように整理することで、業務の全体像を把握しながら改善ポイントを見出すことができます。
【まとめ】
業務の棚卸しは単なる形式的な作業にとどまらず、企業全体の効率化を図るための重要なプロセスであると言えます。業務の階層構造を明確化し、その詳細なプロセスを整備することで、業務の流れを改善し、成果を上げることが可能です。ぜひ、このフレームワークを活用し、貴社の業務改善にお役立てください。
この記事を読んで、少しでも業務改善に興味を持っていただければ幸いです。
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